本を読めば読解力が上がるはウソ。

学習法
ネットでこんな記事が出ていました。
 
「もう『本を読め』とも言えない」「チャットGPTでもっともっとバカに」高校教師が絶句。 イマドキ高校生の国語力があまりに絶望的な理由。https://forzastyle.com/articles/-/67339?fbclid=IwAR3HjHomyGniBU8pPoDuiUamNlv6ZBhc8VO9DV8Tcetu8atraVDotnxXWFk
 
高校生だけでなく、中学生も小学生も読解力が絶望的に低いです。
勉強ができる子もそうでない子も低いのが最近の特徴です。
 
親御さんからも「本を読むようにすれば読解力が上がりますか?」と聞かれますが、正直難しいというのが本音です。
 
実は本を読んで読解力が上がるタイミングがあります。
中学生で国語の教科書が読めていない場合、いくら本を読んでも成績はあがりません。
 
また、普段本を読んでいるのに(小説は読めるのに)国語の点数が低い子も同様で、いくら読んでも点数は上がりません。
 
本来、読書は自分の知識を増やしたり自分の感性を広げてくれるものなのですが、趣味ではなく学問として読む場合やテストの問題を解く場合は読み方のルールがあります。
自由に読んでいい読書とは違います。
 
今回は読解力を上げる読書の方法を年齢べつにご紹介します。
 

1.幼少期

 
北九州市では「はじめての絵本事業」という事業があります。
子供が生まれたら絵本をもらえるという事業なのですが、初めはこの絵本を子供に読んであげる事から始めてください。
 
「言葉なんか理解できないから意味ないのでは?」と言われることもあるのですが、言葉が理解できなくても、絵本の読み聞かせは「心地よい音」として子供に伝わります。
その後、子供の成長段階に合わせていろいろな本を読んであげてください。
 
私は2週間に1度図書館で本を借りられるだけ借りてきていました。
そうすることで、子供は自分の好みの本を選ぶようになりますし、そのうち自分で読むようになります。
5歳くらいになると、絵本をひとりで読み出しますが、当然文字は読めないので自分のオリジナルの物語をえからイメージして読みだしたり、お母さんが読み聞かせしてくれた物語を耳コピして(覚えてマネ)するようになります。
この時期に読書をすることで「本は楽しいもの」としてとらえられます。
読書が苦手な生徒の多くは「本は勉強するもの(イヤなもの)」としてとらえている場合が多いです。
 
この時期にする読書は質より量なのでガンガン図書館に通いましょう。
 

2.小学生

 
小学校に入ると国語の授業が始まります。
それまでは好き放題に読んでいた読み方が許されなくなってきます。
国語の教科書やテストには答えがあって、その内容通りに読まなくてはいけません。
この時期に大事なことは、「相手の気持ち(筆者)になって考える事」です。
 
ケンカをした子供に「相手の気持ちを考えて」と叱ることがありませんか?
それって実は国語のお勉強なんです。
相手(作者や主人公)の立場になって考えることが読解力を鍛える第一歩になります。
 
この時期から読書を始めるなら小説よりも漫画の方がいいです。
漫画でもストーリーや考察を必要とするものもあります。
また、挿絵の多い児童書もおすすめです。
 
文字だけのものは流れを意識しにくいので、絵が多めのものや身近な題材のものが良いでしょう。
 
小学校高学年になったら、主語や述語・修飾語など文法の基本を知っておくと中学校に上がってから苦労することはなくなります。
 
 

3.中学生

 
小学生までの間に読解力を鍛えられているかどうかで差ができてしまいますが、国語の点数を上げるだけであれば、そんなに難しくありません。
 
接続詞や修飾語などの文法をしっかりと覚え、日常の中で使っていくことで、文章を細かく読んでいく力を身につけます。
 
読解力のある生徒は、この時期に読書をすることで語彙力を増やせますが、惜しくも読解力を鍛えてこなかった生徒は読解力よりも解き方の手順を覚えることが先です。(読解力が無くてもそれなりの点数はとれます)
 
主語・述語・修飾語を覚えて使えるようになると英語の長文も読めるようになるので絶対にやって欲しい単元の一つです。
 

4.高校生

 
高校生になるとついた差が埋まることはありません。
中学生から本を読み始めた生徒であれば3年たってようやくなんとなく読めるようになってきたという感じだと思います。
 
大学入試ののためであれば、読解力は求めず解き方のテクニックや小論の書き方を覚えることで読解力はある程度カバーできます。
 
読解力は将来のために鍛えた方がいいですが、優先順位としては低いと思います。
 
この頃に読む本としては、読解力を鍛えるよりも知識を増やす本をお勧めします。
自分の進路に関することや、社会全般の常識を蓄えることで世界を拡げるようにしましょう。
 
知識を増やしていく過程で、様々な文章に触れ自然と難しい文章が書けるようになったり、読めるようになったりすることもあります。
 

5.まとめ

 
読解力はあった方がいいことは間違いありません。
社会に出ると必須のスキルですし、国語だけでなく英語でも役に立ちます。
 
ですが、高校入試や大学入試などのテストだけを考えればある程度読めれば問題ありません。
だからこそ、学校教育や塾の中でも軽視された結果が冒頭の絶望的な理由です。
学校の勉強が社会に出たら役に立たないのは、社会に出て求められることと、入試で求められている今の制度のギャップが原因です。
 
とはいえ、入試は避けられないので上手に乗り越えて、余裕があるうちに読解力も鍛えておく方が良いと考えています。